【ローザンヌ(スイス)=共同】国際オリンピック委員会(IOC)は21日、スイスのローザンヌでスポーツ界関係者を集めた会議「五輪サミット」を開き、ロシアとケニアの全競技の選手にリオデジャネイロ五輪出場の条件として国外でのドーピング検査を義務付ける方針を打ち出したが、検査の方法や基準は明確でなく混乱も予想される。

五輪開幕まで約1カ月半に迫る中でのIOCの異例の措置に対し、ロシア、ケニアの両国は「明確な基準と説明が必要」と反発を示した。

ロシアは組織的なドーピングで国際陸連からチームとして五輪出場が禁じられ、長距離王国のケニアも薬物違反や汚職が続発。ともに世界反ドーピング機関(WADA)から国内の検査態勢が「不適格」とされている。

IOCのバッハ会長は「ロシアとケニア両国は特に深刻な状況。違反選手はコーチや医師を含めて五輪から排除する」と厳格な姿勢を示した。ただIOC幹部は「両国の五輪参加に厳しい条件を付ける大枠で合意したが、検査の詳細は話していない」と、具体的な手順は未定であることを認めた。

個人資格を適用したロシアの救済策を巡っては、国際陸連は潔白を証明できる選手に限り五輪参加を申請できる規定を設け、選手団の一員としての出場は認めない方針だった。しかし、IOCは資格を満たせば選手団の一員として出場することを認めるなど、国際陸連とIOCの立場の違いも浮き彫りになった。